無垢な心

先日の話。

とっても可愛い女の子が
電車の中に乗り込んできた。
2、3歳くらいだろうか。
ベビカーに乗せられて、お母さんと一緒に。

次の駅で、今度は若い女の人が
携帯で何か話ながら
一目で不機嫌と分かる様相で乗り込んできた。
そして、あろうことに私の隣に座った。

「何で私が行かなきゃいけないのよ!
ホントはね、あんたが来るべきでしょ!
そこ、どこなのよ!」
みたいなことを一頻り怒鳴り散らして
無造作に電話を切ったのだが
怒りが収まらない様子。

ああ、早くこの場から去りてえ。。
そんなことを思いながら
ふと前の席に目をやると
先ほど、お母さんと一緒に乗ってきた女の子が
あろうことに、目をぱちくり開けて
その女の人を
ベビーカー越しに
ジーと見つめているではないか!

ああ、お嬢ちゃん、
駄目だよ、あんまり見たら。。
こういうときはね、
とばっちりを食らわないように
見て見ぬ振りをするのが賢明なんだよ。
そんなことを思いつつ
願わくば目が合わないことを祈ってはみたが
あれだけ見つめらてしまっては
どうしたって目が合ってしまうというもの。
二人はぴったり目が合ってしまった。

どうなるものかと固唾を呑んで
見守るしかなかったのだが
その後の女の子の取った行動に
私はひどく感心してしまった。

女の子は、目が合ったのが分かるやいなや
臆することなく
満面の笑みを浮かべて
その女の人に向かってバイバイを始めたのだ!

これには適うまい。

さすがの女の人も困った顔をしつつも
笑顔でバイバイを返すしかなかったようだ。

女の子は自分たちが降りるまで
バイバイを続けた。

降り際にお母さんが
「ホントにすみませんね。」
とお辞儀をしてから降りたのだが
その頃には
女の人もすっかり笑顔になっていて
「いえ、大丈夫です」と返事を返していた。

小さな子の無垢な心というのだろうか
凄いなと感じた。

因みに
これを私がやっても駄目だろう。
かえって逆なでさせるか
駅員に通報されるのが落ちだ。

なぜかちょっと落ちこんでしまった。

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